ドクター・スタッフ紹介

    院長インタビュー:歯科医師としての歩みと葛藤

    祖父の代から78年。3代にわたり繋いできた新開歯科医院の環境で育った私は、物心ついた時から「自分はこの医院を継ぐのだろうな」と自然に感じていました。進路の選択においても、歯科医師の道に進むことに大きな迷いはありませんでした。

    しかし、若い頃の私は必ずしも周囲の期待に対して素直なだけの人間ではありませんでした。当時は、兄事していた身近な存在が早稲田大学へ進学したことに影響を受け、自分も同じ大学に進みたいという強い希望を抱いていました。しかし、そこへ進んでも歯科医師の資格は得られないため、周囲への反抗心を抱える時期もありました。

    当時は、自分の可能性を別の場所で試してみたいという思いから、俳優のオーディションに応募するなど、やんちゃとも言える様々な行動を起こしたこともあります。また、本を読むことが好きだった私は、文学的な世界に深い興味を持っていました。結果として、その文系の興味とは正反対に位置する理系の医療の世界へ進むことになります。

     

    医療の現場で知った「身体の哲学」

    実際に日本大学歯学部を卒業し、医療の現場に身を置いてから、私の歯科医療に対する認識は大きく変わりました。医療は一般的に、データやエビデンス、数値を積み上げる「理系」の学問に分類されます。しかし、実際に人間の身体を対象として治療を続けていくと、純粋な数字の計算だけでは割り切れない領域が多々あることに気づかされました。

    「理論上は、この手順でこの通りに治療を行えば上手くいくはずである」

    そう考えて処置を行っても、実際の患者さまの身体においては、予測とは異なる反応が起こることも珍しくありません。人間の身体は、一見すると誰しも同じ構造を持っているように思えます。しかし、一歩踏み込んで深掘りをしていくと、一人ひとりの組織の性質、治癒力、噛み合わせのバランスには、数え切れないほどの多様性と違いが存在します。この、数値だけでは解決できない奥深さに直面したことで、私は歯科医療という仕事の中に哲学的な要素を見出し、この仕事に深くのめり込んでいきました。

     

    人体の神秘を実感した「双子のエピソード」

    私が約30年前、当院で副院長として働いていた頃、人間の身体の奥深さと神秘性を決定づける出来事がありました。今でも私の医療哲学の根幹にあるエピソードです。

    ある日の午前中、若い女性の患者さまから「歯が痛いので診てほしい」と当院に電話がありました。その日の予約状況を鑑み、午後の時間帯にアポイントメントを設定しました。

    しかし、その日の午前10時頃、その女性と思われる方が受付に現れました。私は「よほど歯の痛みが激しく、午後の時間まで我慢ができなかったのだろう」と判断し、急遽、応急処置の対応を行いました。処置を終え、患者さまは一旦お帰りになりました。

    ところが、当初約束をしていた午後の時間になると、午前中に治療を終えたはずの女性が再び来院されたのです。驚いて事情を確認したところ、午前中に来院された方と、午後に来院された方は、一卵性の双子の姉妹でした。

    さらに調べると、双子の妹さんとお姉さんは、全く同じ部位の、同じ歯が、同じタイミングで同様に痛み出していたのです。お互いに連絡を取り合って来院したわけではなく、それぞれが自身の強い痛みを解決するために、偶然同じ日に当院に連絡をしてきていました。遺伝子や身体の構造が酷似しているとはいえ、これほどまでに同じタイミングで同じ病変が現れるという事実は、現代の一般的な医学データや数字だけでは簡単に解明できない領域です。

     

    データだけにとらわれず「人を見る」

    この経験を通じて、私は「人間の身体は極めて奥深く、神秘的なものである」という認識を強く持ちました。医療においては、画像診断のデータや血液検査の数値などは当然重要ですが、それだけで患者さまのすべてを理解した気になってはならないと考えます。

    人間の身体は、その方の置かれている環境、ストレス、停と「心持ち一つ」で病気の進行や治癒のスピードが変化することがあります。だからこそ、当院では歯というパーツだけを見るのではなく、その背景にある「人そのものを見る」というカウンセリングや、一対一の診療スタイルを徹底しています。

     

    専門分野「補綴(ほてつ)」へのこだわりと治療への反映

    私は大学卒業後、日本大学歯学部補綴学教室(クラウン・ブリッジ学講座)に籍を置き、長年にわたり補綴治療の研鑽を積んできました。補綴学とは、むし歯などで失われた歯の組織を、クラウン(被せ物)、ブリッジ、インレー(詰め物)、あるいは入れ歯(義歯)などの人工物を用いて補い、見た目と噛む機能を回復させる学問です。同講座で学生実習のチーフインストラクターを務めるなど、後進の指導にもあたる環境にいました。

     

    補綴を学んだからこそ至った「天然歯の重要性」

    人工物による修復を専門的に学んだからこそ、私は「どれほど精巧に作された人工の歯であっても、生まれ持った天然の歯の組織には決して勝てない」という結論に至りました。人工の被せ物や詰め物は、経年劣化を免れることはできず、いずれは壊れたり、接着剤が剥がれたりするリスクを持っています。

    この認識に基づき、当院では「安易に歯を大きく削らない」「可能な限り神経を残す」「1本でも多くの天然歯を守る」ためのMI(ミニマル・インターベンション)治療を行っています。専門知識があるからこそ、人工物の限界を知り、天然歯を長持ちさせるための土台作りに力を注んでいます。

     

    新開歯科医院 院長:新開豊

    略歴・経歴

    1987年
    日本大学歯学部 卒業
    1987年〜1990年
    日本大学歯学部補綴学教室 クラウン・ブリッジ学講座医局員(主任教授 五十嵐 孝義先生に師事)
    1990年〜2001年
    同講座非常勤医局員、同講座学生実習チーフインストラクター
    1990年〜1994年
    和田歯科医院 石神井公園分院長(練馬区)
    1994年〜2004年
    新開歯科医院 副院長
    1996年〜1999年
    世田谷区保健センター『母親学級(歯の健康管理)』講師
    2005年〜
    新開歯科医院 院長就任
    2007年〜2017年
    世田谷区介護認定審査員
    2023年〜
    世田谷区介護認定審査員(再委嘱)

    所属・資格・公職

    ・日本補綴(ほてつ)歯科学会 会員
    ・日本顎咬合(がくこうごう)学会 認定医
    ・日本大学歯学部同窓会 東京支部学術委員
    ・東京都玉川歯科医師会 会員
    ・世田谷区介護認定審査員
    ・麻生学園深沢幼稚園 健診医

     

    共に歩む、新開歯科医院のスタッフたち

    当院は、院長一人だけで診療を行っているわけではありません。患者さまが院内に入られてからお帰りになるまで、リラックスして過ごしていただける環境を維持するために、スタッフ全員が重要な役割を担っています。

    当院のスタッフは、それぞれ異なるバックグラウンドや強みを持った個性豊かなメンバーです。院内では、マニュアルで全員の動きを厳格に縛るのではなく、それぞれの長所を最大限に生かせるよう、個人の裁量を尊重したのびのびと働ける環境づくりを行っています。

     

    誠実さと配慮の「ハート」を共有する

    働き方は自由ですが、当院の根幹である「患者さまに対して誠実に、丁寧に向き合う姿勢」や、適切な「言葉遣い」、相手を思いやる「ハート」に関しては、スタッフ全員が共通の価値観を持っています。

    スタッフたちは、院長が患者さまと一対一で対話する姿を日々観察し、その中の良い部分を自ら自発的に吸収して仕事に役立てています。受付での細かなお声掛けや、待合室の手作りディスプレイなど、スタッフたちの細かな配慮があるからこそ、当院は「通いやすい歯科医院」であり続けることができています。

     

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